雲から山の天気を学ぼう|(48)~空を見る方法 ~どの方角の空を見ればいいの?

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~空を見る方法 ~どの方角の空を見ればいいの?

空を見るといっても、どの方角の空に注意したら良いのか分からない方も多いと思います。そこで、今回は観天望気(かんてんぼうき)の基本でもある、空のどこを見ればよいのかについてご説明します。

雲は上空の風に流されていきます。そのため、風上側に発達した雲があるときは、その雲が近づいてくる可能性が高くなります。したがって、空を見るときは、風上側の空を見ることが基本です。

それでは風はどこで調べればいいのでしょうか?登山口や谷の中では、風は地形の影響を受けてしまいますので、周囲に高い山がないような、開けた尾根上に出たら、風の向きを調べましょう。コンパスで調べる方法もありますが、PROTREKをお持ちの方は、次の方法でお調べください。

PROTREKで風向を調べる方法

  1. 時計の12時の方向を風が吹いてくる方に向ける
  2. 右上のボタン押す
  3. そこに書かれている方角が風向となります。

簡単ですよね!風向の変化は、天候変化の前兆にもなりますので、時々風向きを調べて天候変化のサインを見逃さないようにしましょう。

さて、開けた尾根に出ない登山ルートの場合は、どうやって調べたら良いでしょうか。
その場合、雲の流れを見ていくのが一番です。空を見上げて、雲がどの方角に流れていくのか見ていきましょう。雲が向かってくる方角にコンパスを合わせるか、PROTREKの12時の方向を雲が向かってくる方角に合わせて右上ボタンを押せば、上空の風の流れが分かります。

写真1 霧ヶ峰からの北アルプス方面の空。西の空から巻層雲(けんそううん、別名薄雲)や高層雲(こうそううん、別名おぼろ雲)が広がると天気が悪化する前兆

夏の期間を除くと、日本付近では上空を西風が吹いていることが多くなります。その風を偏西風(へんせいふう)と呼びますが、この風に流されて高気圧や低気圧は西から東へと進んでいきます。天気は西から変化するのもそのためです。そこで、空を見るときは、西の空をチェックするのが基本です。ただし、気象遭難が多い日本海側の山岳では、日本海から天候が急変することが多いため、日本海方面の空を必ずチェックしましょう。

写真2 日本海から接近する積乱雲。天候が急激に悪化するサイン

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
※図、写真、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

山の天気予報のご案内

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2020年度ヤマテン主催「山のお天気講座」

東京会場
第2回 3月28日(土)・・・新型コロナウィルス対策で中止になりました。
初級編:高気圧、低気圧、前線
中級編:低気圧の発達と春山の気象リスク

第3回 7月4日(土)または5日(日)
初級編:地上天気図から予想する夏山の天気と気象リスク
中級編:高層(専門)天気図から予想する落雷・局地豪雨や台風のリスク

第4回 9月5日(土)または6日(日)
初級編 秋山の天気入門~低体温症から身を守るための知識~
中級編 ヤマテン専門天気図から予想する台風と秋山の気象リスク

第5回 12月5日(土)または6日(日)
初級編 冬山の天気入門
中級編 地上、高層天気図を使って冬山を安全に登ろう(天気図を読む実習中心)

初級編、中級編ともにそれぞれヤマテンポイント1

名古屋会場・・・新型コロナウィルス対策で中止になりました。
第1回 6月27日(土)と28日(日)
会場:ウィンク愛知 夏山フェスタ会場内
福岡会場・・・新型コロナウィルス対策で中止になりました。
6月21日(日)
会場:夏山フェスタ福岡会場内

2020年度アルパインツアー「山のお天気講座」
会場:アルパインツアー本社(JR新橋駅烏森口から徒歩6分)

第1回 5月19日(火)
山の天気の基本と安全登山のための天気図の見方

第2回 6月12日(金)
高気圧・低気圧・前線

第3回 7月7日(火)
夏山の気象(落雷と短時間強雨から身を守る方法)

第4回 8月25日(火)
台風のリスクから身を守るための知識

第5回以降の期日、内容や詳細は、http://www.alpine-tour.com/japan/pdf/20japan_catalog.pdfにてご確認ください。

ヤマテンポイントについて

ヤマテンの気象予報士が講師を務める講習会にご参加いただいた皆様にポイントを進呈させていただきます。
机上講座は1回参加につき1ポイント、空見ハイキングなど山での実地講座については1日につき3ポイント(旅行会社企画・実施のものも含みます)を進呈させていただきます。
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詳細につきましては、 http://yamatenki.co.jp/point.php でご確認ください。

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猪熊隆之(いのくまたかゆき)

国内唯一の山岳気象専門会社ヤマテン http://yamatenki.co.jp/ の代表取締役。中央大学山岳部監督。国立登山研修所専門調査委員及び講師。カシオ「プロトレック」開発アドバイザー。チョムカンリ登頂(チベット)、エベレスト西稜(7,700m付近まで)、剣岳北方稜線冬季全山縦走などの登攀歴がある。著書に山の天気にだまされるな(山と渓谷社)、山岳気象予報士で恩返し(三五館)、山岳気象大全(山と溪谷社)。共著に山の天気リスクマネジメント(山と渓谷社)、安全登山の基礎知識(スキージャーナル)。

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