雲から山の天気を学ぼう(第54回)

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機窓からの観天望気 ~東京/福岡編~

今回は、東京から福岡に行くときに見られた雲についての解説です。相変わらず、飛行機に乗ると、窓に顔をべったり張り付かせた小学生状態(笑)の猪熊です。だからマツコさんに変態と言われちゃうんですよね(笑)。

羽田空港を飛び立って最初に出てきたのは・・・。北の空に広がる雲の列。

写真1 あきるの市(東京都)上空からの関東平野と新潟県側の雨雲

関東平野は雲ひとつない好天でしたが、関東山地から北側(写真1の奥側)では、雲が連なっていました。これは、冬型の気圧配置に伴って日本海側に出現する雲です。この雲ができる仕組みは、第43回をご参照ください。

この日の天気図を確認してみましょう。西日本に高気圧が進んできて西から冬型が弱まってきています(図1)。

図1 この日の地上天気図(高気圧前面で北西風が吹き、新潟県側で雲が発生)

また、500hPa面(高度約5,500m付近)の気温予想図(図2)を見ると、上層の寒気が関東地方の辺りではあまり強くないため、雲は雲頂が平べったくて「やる気」がない感じですね(やる気がある雲とは、強い上昇気流に乗って、ぐんぐん上方へと成長していき、強い雨や雪、落雷などをもたらす雲)。

図2 500hPa面の気温予想図(この時期、雲がやる気を出す目安はマイナス24℃以下)

次に機窓から見られたのは、高山盆地、大野盆地など周囲を山に囲まれた低地に広がる雲です。

写真2 御嶽山(右手前)と高山盆地に広がる雲海

観察していると、雲海ができている低地と出来ていない低地があるのに気づきました。

写真3 雲海ができている所とできていない所

地形と照らし合わせると、この地域にはダムによる人工湖が点在しており、湖のある所には雲ができていて、湖がない谷沿いには雲ができていないことが分かりました。湖から蒸発した水蒸気が、夜間の冷え込みで冷やされて雲になったものでしょう。湖が雲海発生に影響を及ぼしているのですね!

写真4 中国地方の盆地に広がる雲海

近畿地方、中国地方では湖のない盆地や谷沿いにも雲海が広がっていました。中部地方より、地上付近に水蒸気が多かったためでしょう。この日の竹田城は雲海が見事だったでしょうね。

写真5 一面に広がるひつじ雲(高積雲)

いつもは下から見上げるひつじ雲を上から見下せるのも快感ですね(笑)。雲ができている高度で上下の温度差や密度差が大きくなっているのでしょう。

写真6 ブロッケン現象

お次は飛行機に乗ったときのお楽しみ、ブロッケン現象。この現象は雲より高い所にいないと見れないので、山や飛行機からしか見られない光景です。この現象を見たい方は、太陽が射してくる方角と反対側の座席をゲットしましょう。

写真7 放射状の光の筋

玄界灘上空に入ると、不思議な現象が見られました。放射状に光の筋が見られます。大気中の塵や微細な水滴に太陽光が散乱しているせいでしょうか。

写真8 福岡市街上空

飛行機は目的地の福岡空港に向けて下降し、眼下には福岡市街が広がってきました。空の旅もまもなく終わりですね。お付き合いいただき、ありがとうございました。

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
※図、写真、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

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猪熊隆之(いのくまたかゆき)

国内唯一の山岳気象専門会社ヤマテン http://yamatenki.co.jp/ の代表取締役。中央大学山岳部監督。国立登山研修所専門調査委員及び講師。カシオ「プロトレック」開発アドバイザー。チョムカンリ登頂(チベット)、エベレスト西稜(7,700m付近まで)、剣岳北方稜線冬季全山縦走などの登攀歴がある。著書に山の天気にだまされるな(山と渓谷社)、山岳気象予報士で恩返し(三五館)、山岳気象大全(山と溪谷社)。共著に山の天気リスクマネジメント(山と渓谷社)、安全登山の基礎知識(スキージャーナル)。

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