雲から山の天気を学ぼう(第28回)

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~機窓からの観天望気 石垣島編partⅠ~

飛行機に乗るとき、皆様はどちらの席を予約されますか?「真ん中がいい!人の温もりが感じられて。」という方は少ないでしょうから、お手洗いに行くときに便利な通路側派と機窓からの風景を楽しみたいという窓側派に分かれると思います。
私は断然窓側派です!なぜなら、雲や山を眺めたいからです。機窓からの雲は、平地から見る雲とは全く違います。普段は絶対見ることができない、上空高い所にある雲を真横から見ることができるのですから。

ということで、今回は先日、機窓から見ることができた雲の解説です。まずは、地上からの写真を。

写真1 羽田空港からの空

空港の上空に浮かんでいる綿のような雲は、綿雲(わたぐも)、あるいは積雲(せきうん)と呼ばれる雲です。この雲は地上付近で温められた空気が上昇して出来ます。雲の下には上昇気流があり、その下の地面は周囲より温められています。例えば、地表がアスファルトなど熱を吸収しやすいもので覆われていたり、南斜面など温まりやすい場所がそれに該当します。

さあ、いよいよ大空に飛び立ちましょう。
写真2 上空に現れたかもめのような雲と丹沢にかかる積雲の雲列

飛行機が離陸すると、遠くに丹沢山塊が見えてきました。一番左の三角形の山が大山(おおやま)です。丹沢上空の雲は相模湾(写真の左側)から入ってきた水蒸気を含んだ空気が丹沢山地で上昇することでできている雲です。海の上の空気は水蒸気を沢山含んでいますので、海から風が吹いて山の斜面を昇っていくと、すぐに雲ができます。特に、夏場は水蒸気が多いのでなおさらですね。

図1 相模湾からの湿った空気が上昇して丹沢で雲ができる仕組み

そして、もうひとつ面白い雲が現れました。上空にかもめのような形をした雲がありますね。これは、観天望気講座でも何度も取り上げている、空気中に起きた波によって生まれる雲です。海で風によって波が生まれるように、空気中でも、性質の違う空気(温かい空気と冷たい空気)の境界で風が吹くと波が起きることがあります。また、山に風がぶつかることで波が生まれることもあります(図2)。

図2 山で生まれる空気の波(山岳波)

飛行機は東京湾を南下し、三浦半島の付け根辺りに来ました。すると、それまで平地にはなかった雲が現れてきました。

写真3 相模湾(左)から流れ込んできた雲

上の写真では、画面の左側が相模湾、手前が東京湾に面する横浜市南部、左手前方向が三浦半島です。左手の海側からの湿った空気が侵入していることが、雲の様子で分かります。画面右手の内陸の方に入ると、空気が乾いているため、雲は蒸発していきます。

そして、飛行機は駿河湾に達しました。するとお化けのような形をした雲が見えてきました。
写真4 駿河湾上空からの雄大積雲(ゆうだいせきうん)

さて、この雲の下に何が隠れているか分かるでしょうか?
勘の鋭い方は分かりましたね。そう、富士山です。雲の形を見ると何となく、富士山の形になってますよね。こちらも駿河湾からの湿った空気が富士山に沿って上昇して雲ができています。この雲は、写真1で見られた綿雲が成長したもので、入道雲、あるいは雄大積雲(ゆうだいせきうん)と呼ばれます。さらに発達すると、積乱雲(せきらんうん)と言う、
落雷や大雨などをもたらす危ない雲になっていきます。
今日はこの辺りまでにしましょう。

私がいかに、機内で顔を窓にくっつけていたのかお分かりいただけたでしょうか?きっと小さなお子さんから「ママ!あの人、変。」と言われているに違いありません(笑)。
このように、飛行機からですと、雲がどこで出来ているのか、山や海と雲の関係が良く分かります。ぜひ、皆さんも機窓から雲を眺めてみてください。あまり、くっつきすぎて、私のように鼻がへこまないように(笑)。

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
※図、写真、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

山の天気予報のご案内

ヤマテンでは、全国18山域59山の山頂の天気予報や気象予報士の解説、大荒れ情報や「今週末のおすすめ山域」、各種予想天気図、ライブカメラ、ヤマレコの最新記録などをご利用いただける「山の天気予報」を運営しています。また、年末年始やお盆期間、連休期間中の前には週間予報を発表します。次は8月8日(水)にお盆期間中の予報を発表します。ご登録方法やサービスの詳細につきましては https://i.yamatenki.co.jp/ でご確認ください。
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山の天気を実地(山)で学ぶ講座のご案内

観天望気講座を書いている猪熊隆之やヤマテンの気象予報士が講師を務める「お天気講座」を旅行会社で実施しています。山は雲を観察したり、学んだりする最高のフィールドです。それは、平地から雲を見ると、どうしても下から見上げてしまうので、平面的にしか見えないのに対し、山では、立体的に雲を捉えられるほか、稜線や尾根上では斜面を昇ってくる上昇気流によってできる雲を体感でき、山を挟んだ両側における雲の出き方の違いも観察できます。また、観天望気だけではなく、登山前日の天気図から押さえておくべきポイントや、荒れた天気の日は、気象リスクを減らすために登山者がおこなうべきことを解説し、安全登山の方法について学びます。
空気は目に見えませんが、雲は空気の状態を語ってくれています。雲の聞えない声に耳を傾けながら、楽しく山を登りましょう。皆様とご一緒できることを楽しみにしています。

空見ハイキング槍ヶ岳 2泊3日 富山駅集合・解散 催行決定!

日程:9月29日(土)~10月1日(月) ヤマテンポイント9※
企画・実施 アルパインツアーサービス
空を見上げながら、気象のリスクを考えながら、憧れの名峰、槍ヶ岳に挑戦。美しい清流、梓川沿いの森林浴が気持ちの良いルートから、ナナカマドなどの紅葉に彩られた美しい槍沢を登る、日本でも屈指の景観美を誇るルートです。

お申込み方法やご旅行代金などツアーの詳細については下記URLでご確認ください。
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紅葉の尾瀬ヶ原/雲見ハイキング 1泊2日 東京発着

日程:10月13日(土)~14日(日) ヤマテンポイント6※
企画・実施 毎日新聞旅行
一度行くと誰もがファンになる尾瀬。今回は、秋色に染まる尾瀬ヶ原で山の一夜を過ごします。尾瀬ヶ原のほぼ真ん中の龍宮小屋、西に至仏山、東に燧ヶ岳を望めます。空がどこまでも広い尾瀬で秋の雲を見上げてみましょう。動物の形をした雲、透き通った雲、レンズ状の雲・・・。その日に見られるのはどんな雲でしょうか?

お申込み方法やご旅行代金などツアーの詳細については下記URLでご確認ください。
http://www.maitabi.jp/parts/detail.php?course_no=15171

山の天気を学ぶ机上講座のご案内

ヤマテン主催「山のお天気講座」(東京会場)

日程:9月8日(土)
初級編「初秋の天気入門」(10:30~12:00)
中級編「過去の気象遭難から学ぶ秋山の天気実践編」(13:30~15:30)
講師:渡部均(予定)
※会場やお申込み方法につきましては、後日発表いたします。

今年度の10月以降の講座及び、大阪、名古屋の講習会の予定は下記URLでご確認ください。
http://yamatenki.co.jp/course.php

参加費は、一般の方は3,000円ですが、ヤマテン会員の方は2,000円となります(基礎編、中級編両方をお申込みの方は一般の方5,500円、ヤマテン会員の方は3,500円と、500円割引になります)。なお、会員割引は、開催当日に会員になっていただいてる方が対象となります。

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ヤマテンの気象予報士が講師を務める講習会にご参加いただいた皆様にポイントを進呈させていただきます。
机上講座は1回参加につき1ポイント、空見ハイキングなど山での実地講座については1日につき3ポイント(旅行会社企画・実施のものも含みます)を進呈させていただきます。
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2018年のヤマケイ登山教室 山岳気象講座の日程は下記の通りです。

東京会場(アルパインツアーサービス本社) 19時~21時
受講料:2,000円 ヤマテンポイント各1ずつ

第1回*  4月24日(火) ・・・終了しました
第2回 5月15日(火) ・・・終了しました
第3回 6月5日(火) ・・・終了しました
第4回 7月17日(火) ・・・終了しました
第5回 8月21日(火) 台風のリスクを予想する
第6回 9月18日(火) 秋山の気象~低体温症から身を守るための知識~
第7回 10月16日(火) 観天望気~雲から学ぶ天気の基本~

お申込み、お問い合わせはアルパインツアーサービス株式会社へ。
http://www.alpine-tour.com/japan/_j_office.html
http://www.alpine-tour.com/japan/

猪熊隆之(いのくまたかゆき)

国内唯一の山岳気象専門会社ヤマテン http://yamatenki.co.jp/ の代表取締役。中央大学山岳部監督。国立登山研修所専門調査委員及び講師。カシオ「プロトレック」開発アドバイザー。チョムカンリ登頂(チベット)、エベレスト西稜(7,700m付近まで)、剣岳北方稜線冬季全山縦走などの登攀歴がある。著書に山の天気にだまされるな(山と渓谷社)、山岳気象予報士で恩返し(三五館)、山岳気象大全(山と溪谷社)。共著に山の天気リスクマネジメント(山と渓谷社)、安全登山の基礎知識(スキージャーナル)。

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