田中陽希さん「日本3百名山ひと筆書き~Great Traverse~」(40)

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 夕張山地スキー縦走

4月5日、6時40分に出発。空は曇天ですが、予報通りの展開となれば、主稜線に合流する頃には、青空が広がるでしょう。3日前に行った下見ルートと同じように、富良野西岳への沢道に沿って標高を上げていきます。25キロを超えるバックパックを背負っているため、ペースは淡々と、休憩を入れずに主稜線を目指します。標高が1000mを超えると、樹氷に包まれた美しい樹林が頭上に広がりました。初冬のような景色に、季節が春であることを忘れてしまいます。3時間で主稜線に合流。予想以上にスムーズです。新雪がほどよく積もり、スキーも良く進んでくれます。富良野西岳の中腹をトラバースして、布部岳方面へ。11時以降はまぶしいほどの快晴で、雪化粧の芦別岳が神々しく輝いています。極楽平の手前で腰を下ろし昼食を。この先のスキー縦走が、感動と達成感に包まれ、無事に2つの頂きに立たせてもらえそうな空気が流れます。芦別岳1200m付近の主稜線上の平坦な地形にて、1日目の縦走を終了。そこにイグルーを作り、翌日に備え早めに就寝しました。


4月6日、2日目の朝。美しくまぶしい日の出と、夫婦岩の上にかかった三日月に高揚感を覚えます。7時過ぎ、すっかり明るくなった空の下、芦別岳へ向けて縦走再開。標高が上がるにつれて、険しさも増します。標高1400m付近から早くもスキーを担ぎ、固くなった雪面にスキーブーツを蹴り込み登りました。目の前には槍ヶ岳を彷彿とさせる芦別岳がそびえています。行く手は雪から顔を出した岩稜帯となり、そこで何度も雪の深みに足をとられてしまいました。結果、標高差200mに1時間以上もかかってしまいました。この区間がこの縦走で一番の難所。山頂直下にスキーを残し、最後の登りへ。山頂まで気の抜けない登りは続き、計画よりも1時間半も遅く、13時芦別岳山頂に到着。昨年の暑寒別岳以来、約5ヶ月ぶりに登頂数を増やすことができました。ようやく、登り繋いできた旅の針が動き出した瞬間です。山頂からは広大な富良野盆地と故郷麓郷を一望。その奥には高々と噴煙を上げる十勝岳連峰や、真っ白な大雪山系も見えました。

4月7日、スキー縦走3日目。今日は20キロ近い縦走距離。朝早くスタートしたおかげで、雪面はカリカリのアイスバーン。緩斜面でもいいスピードが出る。登りもシールを装着し直さずに、クロスカントリースキーの経験を存分に生かし、軽快に登りました。それも功を奏し、1時間で4キロ前進。また、昨日よりも大きく緩やかな尾根が続いたことも、順調快適に前進することができた要因です。予定通り12時過ぎに夕張岳登頂。山頂付近は風が強く、体感温度は一気に下がったため、長居はせずに直下の夕張三吉神社を参拝して下山しました。夕張岳中腹の東側斜面を南へぐるりと回り込み、縦走を継続。北側から見る夕張岳はピラミダルな美しい山容でしたが、振り返ると荒々しい岩肌が露出した台形のどっしりした姿に変わっていました。これも縦走の醍醐味。19キロを過ぎた屏風山中腹で3日目の縦走を終了しました。


4月8日。夜明け前、木を激しく揺らす風の音が聞こえます。昨晩の予報通り、天気は下り坂のよう。風は強いが追い風、カリカリに凍った雪面をスキーがどんどん滑っていきます。出発から30分ほどで、主稜線から支尾根へと分岐する地点に到着。しっかり現在地と下る尾根を確認。尾根を下るときは注意が必要です。林道の終点に出るまでは小さなピークを2つ、3つ越える必要があり、下ってはスキーを脱いで登り返しを繰り返しました。下山開始から1時間45分で林道終点に合流。あとは、ひたすら林道を湯の沢温泉まで下るだけ。5~6時間はかかると予想していたのですが、雪面の状態が最後まで凍ったままとなり、スムーズすぎるほどにスピーディーな下山となりました。ほぼ、計画通りに進むことができた初めての夕張山地スキー縦走。日高山脈縦走に向けて幸先良いスタートが切れました。

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