田中陽希さん「日本3百名山ひと筆書き~Great Traverse~」⑥

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扇ノ山

6月13日、雨が止むまで宿で待ち続け、予定よりも1時間半遅れの出発となりました。雨が上がり晴れる時間もありましたが、山は豊富に蓄えた水で湿度が高く、一日を通じて曇天となりましたが、雨上がりの静かな山を歩くことが出来ました。また豪雪地帯特有の独特な形をした木々を探しながら歩いたので終始楽しむことができました。斜面には根元から大きく曲がった木が多くあります。ねじ曲がったり、まるで便器のような形をしていたり。不思議な形をした木を見つけるたびに、ひとり驚き喜びました。登山口から一時間ほどで山頂に到着。山頂で雲が晴れるのを待ちながら、のんびりランチをとりましたが、雲が晴れることはありませんでした。その後、氷ノ山(ひょうのせん)へと続く林道へ下山しました。人気のない林道は野生動物の生活道となっていて、常に動植物の気配を感じながら手つかずの自然を楽しむことが出来ました。扇ノ山の深い緑が山の深さをより際立て、梅雨がその源になっていると山が教えてくれたような気がします。人それぞれに必ずその人だけの魅力があるように、どの山にも必ず魅力があります。しかし、それに気付けるかどうかは登る人次第です。山はいつでも登山者に「俺の魅力に気付けるかな?」と挑戦状を突き付けているのかなと、そんなことを感じました。

氷ノ山

氷ノ山のあたりは登山家加藤文太郎さんがトレーニングの山として足しげく通われたと聞きます。今日登る氷ノ山へのルートも文太郎さんが歩いたという「ぶん回し」をたどることにしました。3年前の氷ノ山登山は暴風雨で、山でのんびりすることも景色を堪能することもなく下山しました。だからこそ良いコンディションを選びたい気持ちが強く、梅雨時期の数少ない晴れの日を氷ノ山にあてました。6月14日、予報どおり朝からすっきりと晴れ、昨日は全く見えなかった扇ノ山も見ながら三の丸へ登りました。雪国特有の背の高いチシマザサの中を行く登山道はよく整備され、三の丸山頂の展望台からは氷ノ山へと続く道がはっきりと見え、氷ノ山山頂の三角屋根の避難小屋も見えました。また遠くは大山や那岐山などもわずかに見ることが出来ました。三の丸からの景色と空気感、風の強さなどすべてがパーフェクトで、氷ノ山へ向かう足を止めて三の丸での静かな時間を堪能することができました。とても贅沢な時間です。そこから氷ノ山山頂まではあっという間。途中には長い間雪に耐え続けた背丈は低いが力強い幹肌をした大木が山に変化を加えてくれました。氷ノ山山頂は平日でもたくさんの登山者でにぎわっていました。山頂で2時間ほど過ごす間、山頂は交差点のよう。鳥取県側から登る人、兵庫県側から登る人、それぞれのルートから登り、また違うルートへと下山していきます。氷ノ山から鉢伏山(はちぶせやま)へ向けて、ぶん回しを続け、ハチ高原へと下りました。梅雨時期のこれ以上ない最高のコンディションで氷ノ山に登ることが出来て、いいリベンジが出来ました。
 

六甲全山縦走1日目

6月21日、雨は上がり、湿気たっぷりの空気が漂う中を出発。六甲全山縦走のスタートはJR塩屋駅、ゴールは宝塚駅、全行程56キロ、コースタイムは約18時間と長丁場。以前の自分であれば1日で駆け抜けたでしょうが、今回は100万ドルの夜景と言われる神戸の夜景を山から見たかったので、一泊二日の予定で行くことにしました。1日目の今日は塩屋駅から摩耶山まで、地図確認すると見るからに前半は激しいアップダウンの連続となりそうです。住宅地の狭い道を抜けていくと、分岐には必ず「六甲全山縦走」や「六甲全縦」と書かれた標識があります。気を付けないと見過ごしてしまいそうです。最初のピークは旗振山(昔は大阪堂島の米相場を加古川や岡山へ、畳一畳分の大きさの旗を振って伝達するための中継地点だった山)、そこから須磨アルプスを抜けるまでは、地元の人が散歩コースのように歩いている姿を多く見かけました。縦走というと山頂と山頂をつなぐ稜線を歩いていくイメージだが、どうも六甲全山縦走路は違うようです。一つ一つの山頂を登っては下の住宅地まで下りて、迷路のような住宅地を抜けて、次の山へと入っていきます。一つ住宅地を抜けるごとに次に登る山の標高は高くなり、ビルドアップしていくような感じで、中間地点となる摩耶山まで登っていきます。この日はとにかく蒸し暑く、この旅始まって以来一番汗をかく1日となりました。縦走路沿いにはたくさんの自動販売機があり、水は100円で購入できることに驚きました。再度山から市ケ原まで下ってから1日目最後の摩耶山までの450m以上の登り返しは、かなり身体に応えました。摩耶山の展望台となる掬星台から、夜景で輝く前の神戸の街を眺め、かなり高いところまで登ってきたことを感じます。宿にチェックインした後再び掬星台へ向かうと、さすがデートスポット、梅雨の晴れ間に100万ドルの夜景を楽しむたくさんのカップルが光り輝く神戸の街を眺めていました。僕もすこし遠慮がちに端の方で、静かに神戸の夜景を目に焼き付けました。カップルたちの中に一人で長居はちと寂しい(笑)

六甲全山縦走2日目

6月22日、天気予報では眼下の町では今年一番の暑さになるという予報です。しかし六甲稜線は涼しげな風が流れ、昨日の蒸し暑さもありません。六甲全山縦走路の後半となる今日は、ゴールの宝塚駅までコースタイムは約7時間、931mの六甲山最高峰までは緩やかに登り、その後は細かいアップダウンを繰り返しながら、標高を下げていく行程です。まだ六甲山稜線の住宅地や観光施設は静かな中、鳥のさえずりが聞こえる日本最古のゴルフ場を抜けていきます。途中のガーデンテラスからは下界の雲海がみえました。9時過ぎに予定通り六甲山の山頂へ到着、平日にもかかわらず数人の応援の方々が拍手で迎えて下さいました。時間とともに気温が上がる中、宝塚駅を目指し山頂を後にしました。駅までの14キロほどは展望が少ないですが、自然にあふれ、縦走を振り返りながらクールダウンをするような雰囲気がありました。またいつか違う季節に六甲全山縦走をしよう、武庫川沿いを歩きながら登ってきた六甲山を眺めました。

ダイヤモンドトレール

先日、地元の方から葛城山と金剛山を含めたダイヤモンドトレールを縦走してほしいという声をいただきました。役行者さんの庭でもあり、大峯奥駈道の修験道を開くための修験の道にもなった金剛山地を歩くことで、役行者さんの足跡をたどることができるのではと思い縦走することにしました。6月30日、屯鶴峯(どんづるぼう)のダイヤモンドトレール起点からスタート。蒸せるような暑さの中、二上山を含め急なアップダウンを繰り返しながら、41座目の葛城山に登頂しました。山頂の驚くほどの大展望に金剛山へ向かうパワーをもらいました。そこから金剛山へ向けて一度標高をグッと下げて、再び300メートル以上を登り返している最中、さっきまで夏空が広がっていた頭上にどす黒い雲が広がり始めました。間もなくするとゴロゴロバリバリと雷鳴が。不安が雷雲に伝わったのか風の力で雲は遠くへと流れていき、金剛山に着いたときには運よく明るくなっていました。毎時間ちょうどに山頂広場の様子を撮る定点カメラに写りこむことが金剛山に登りにくる人たちの楽しみの一つになっています。その事を覚えていたので、今回は16時のタイミングを狙いました。金剛山をこよなく愛するたくさんの人たちに囲まれて映り込みました。そのあとは、3年前も来てくれた方と「あれから目標の4000回を超えて、今は6000回を目指してます」とお話をしたり、45年もかけて10000回以上も金剛山に登っている方から話を伺ったりすることができました。2000~3000回はヒヨッコで、5000回でようやく一人前といいます。そんな風に言えるのは、10000回を越えたわずか10人の方たちだけでしょう。こんなにもたくさんの人が365日毎日登られ続ける山は日本中探してもここだけではないでしょうか。

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