田中陽希さん「日本3百名山ひと筆書き~Great Traverse~」(33)

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太平山

9月2日、秋田市の郷土の山ともいわれ、昔から「みよしさん、さんきちさん」と親しまれている太平山へ。山並みがまるで蛇が横たわっているように見えることから「蛇ばみ岳」と呼ばれていたこともあるそう。7時過ぎ、宿を出発。丸舞登山口を目指して林道を進みます。登山口はひっそりとした谷間にあり、標識には山頂まで、6.7キロと。前半は予想以上に歩きやすく、清らかな沢が美しく、涼しさも得られました。尾根登りが始まる直前に、不帰沢の大滝へ寄り道。滝に打たれて身も心もシャキッとして、山頂への急登へ。次第に蒸し暑さが増して、滝のような汗に。とうとう標高900メートル付近で足が止まってしまいました。一休みして気持ちを再び入れ直し、最後の山頂直下の不帰沢の清水を力水として、一気に登りきりました。予定より1時間ほど遅れての登頂。山頂は涼しい風が抜け、火照った体を急速に冷ましてくれます。山頂には三吉神社の奥宮が建立されていて、無事に初登頂させていだだけたことへの感謝をお伝えしました。1時間半ゆっくり体を休め、午後は、蛇ばみ岳と呼ばれていた前岳までの縦走路へ。事前の情報収集で、足場が悪いところが多いタフなルートと説明を聞いていました。言葉以上の険しい道のりで、中岳に抜けるまでに1時間ほど。なんとか中岳まで無事に抜けて、前岳、女人堂跡地を通過して、下山開始から3時間半で無事に271座目を登り終えられました。

森吉山

9月6日、6時過ぎに標高500メートルのおしゃれな宿から出発。標高860メートルのブナ帯登山口へと林道を登ります。7時20分にブナ帯登山口を出発。朝露で濡れたブナ林が、差し込む日差しで輝く中を登っていきます。8時に頂上駅に到着。まだ、ゴンドラが動き出してはいないため静かです。少し上の展望台からは懐かしい山が2つ、鳥海山と月山が。自然と疲れも忘れ、気持ちが上がります。主稜線に合流すると、青森県の山々がこれまでで一番はっきりと見えました。ここに来てようやく、青森県が近づいてきたこと、東北ももうすぐ終わることを実感しています。たおやかでゆったりとした山容。アオモリトドマツと小さな湿原の間を抜けながら、標高を上げていきます。そして、9時12分、272座目森吉山山頂に到着。楽しみにしていた景色がもう一つ。5年前に歩いた山人平からヒバクラ岳方面の眺めです。あの日を懐かしみながら、山頂から少し離れた岩に腰を下ろし、一人思いにふけります。2時間程山頂で過ごし下山を開始。途中、森吉神社に立ち寄り、登頂と素晴らしいコンディションに恵まれたことの感謝を伝えました。

白神岳

9月11日、白神岳へ。白神山地を代表するブナ林を登っていきます。マテ山コースから急斜面となり、蒸し暑さから汗が大量に。先行する登山者の痕跡はなく、ブナをアンカーした蜘蛛の巣に何度も顔が引っかかり、「これが先頭の宿命だ」とこぼしなから出発から3時間で主稜線へと登り切りました。そこから山頂まではあっという間。山頂でのんびりといきたいところですが、この日のクライマックスはここから先。しっかり食料補給をして十二湖コース分岐まで戻ります。出発して直ぐにこの先の道のりが想像よりも険しいことを覚悟。笹藪は背丈ほどにもなり、灌木も行く手を遮っています。標高が下がると笹は深く背丈を超え、背を屈めながら、幾度となくかき分けます。まるでアドベンチャーレースのよう。山頂から3分の2となる大峰岳まで約2時間で到着。予想以上に体力を消耗しています。崩山までは汗と草露で全身ずぶ濡れとなり、前半のような推進力が無くなってしまいました。崩山までの激しい藪漕ぎを1時間で抜けると、そこから先は、歩きやすい登山道。それまでとくらべると高速道路のようです。ヘロヘロになりながらも青池前の登山口に、縦走開始から4時間ほどで下山できました。十二湖めぐりは肩の荷を下ろして見学できそうです。写真で見たほど青くなくとも、とても神秘的に見えます。白神岳自然の深さを存分に味わう1日となりました。

岩木山

9月16日、厚い雲に包まれた岩木山へ。登り始めている間に回復へ向かうと信じ、岩木山神社へ参拝し、奥宮へと続く百沢コースを登り始めました。山頂が近づくにつれて傾斜はきつくなり、大沢からは上部の清水から流れる水により川となり、滑りやすい岩場の連続に。吹き下ろす風は冷たく、錫杖清水を飲むとあまりの冷たさに身が凍るよう。インナーシャツを1枚着込み、さらにジャケットを一枚羽織りました。依然として上空の雲は晴れず、強い風で絶えず雲が湧いて来るようです。清水まで回復を信じ快調に登ってきた足取りに迷いが生じます。展望リフトと登山道の合流直前で、山頂を目指す登山者の声が聞こえてきました。雲で視界が効きませんが、多数いるようで、その声に誘われるように止まっていた足がゆっくりと前へ上へと引き寄せられました。合流から10分ほどで、突如雲の中から見たことのある大きな三角形の山頂碑が出現。突然過ぎて、結局整理出来ずに登頂してしまいました。こんな気持ちで登頂してしまった自分に「情けない、山に対して失礼だ」という思いです。荷を下ろし、奥宮正面に回り込み、今の素直な気持ちを伝えました。雲の晴れ間を1時間ほど待っていると、奥宮の前にかかる雲が風と共に上空に押し上げられて、眼下に弘前市の街並みと津軽平野が。晴れる時間も長く、日本海も遠望。気づくと山頂で2時間半も過ごしていました。

八甲田山

9月19日、本州最後の一座を登る朝、スカッと晴れた空に自然と気分が高ぶります。まずは広大な湿原や池塘が点在する毛無岱へ。酸ヶ湯温泉から中腹は最高峰大岳から遠ざかるように、ゆっくりと毛無岱へと登っていきます。下毛無岱から見上げるような280段の木段を上り、上毛無岱へ。上毛無岱の休憩所で八甲田山の主稜線にかかる雲が晴れるまで待ってみることにしたところ、思いが通じたのか、わずかな時間雲が取れ、この日初めての八甲田山大岳とのご対面が叶いました。毛無岱とは違う火山としての八甲田山を見るために、少し荒れている宮様コースを経由して、赤倉岳と井戸岳を縦走。雲の切れ間に現れたのは、巨大な赤倉岳の爆裂火口と、その先の美しく見事までの井戸岳の火口です。大岳鞍部避難小屋で40分ほど休憩していると、井戸岳を包んでいた雲はすっかり無くなりました。満を持して最高峰大岳へと向かいました。登り始めて20分で山頂に到着。遠く津軽半島や下北半島、陸奥湾、そして岩木山も望むことが出来ます。さらに、南八甲田、今いる北八甲田の山々の全容も。ここが東北最後の頂きだと、実感しました。山頂の小さな神社に手を合わせ、酸ヶ湯温泉へと下山しました。

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