田中陽希さん「日本3百名山ひと筆書き~Great Traverse~」(31)

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栗駒山

7月30日。空模様を見ると高曇りの空ですが、徐々に晴れることを願い8時40分から登り始めました。まずは東北らしいブナ林の中をジグザグと前進、20分程で展望が開ける急斜面のトラバースがスタート。登山道の脇にはキンコウカやシロバナトウウチソウが咲き連ねていました。40分程で今日一番の登りを終えて、秣岳へと登頂。山頂に到着するといつの間にか雲に包まれていました。ここから先の縦走ルートは一番楽しみにしているので、雲が晴れるのを待つこと30分。少しずつ晴れ始め、湿原へと気分良く進みました。最初の湿原には、キンコウカの群落やタチギボウシ、ウメバチソウ、タテヤマリンドウなど夏の花が。とても活火山とは思えない表情を見せてくれます。高台の岩場からは、もっと大きなしろがね湿原と、宮城県方面の雲海や雲から顔を出した泉ヶ岳、船形山も遠望できます。雲海へと続いていくような湿原を駆け抜け、6月の花シャクナゲも残る少し長い灌木帯を登りました。登り切ると、雲に包まれた山頂へ緩やかな稜線が続きました。13時、山頂到着。断続的に湧く雲で山頂は包まれていましたが、山頂からの景色が見えなくとも、満足も納得も充実もありました。

焼石岳

8月2日、5年ぶりの焼石岳に登る朝、雲一つ無い空が広がっています。7時45分に登山口到着。昔から地元の人たちに守られてきたブナ林を登ります。一際太く大きなブナは、子孫を残すための母樹として長い年月を生きているそう。30年前まで牛も八合目の放牧地まで登ったという、灌木の長いトンネルが続く稜線をしばらく進みます。川を三度渡り、牛たちの避暑地となっていた放牧地へ、出発から2時間半ほどで到着。牛たちにとっても最高の放牧地といえる景色が今も広がり、高地ではみない植物とも出会えました。これは牛が麓で食べた草花を山で排泄したことで、種が発芽して自生してしまったと考えられるそうです。透き通った焼石沼には魚の姿も。見上げると両翼に大きく肩を突き出すように、一番奥に焼石岳山頂が見えました。先日の栗駒山とは比べものにならないほどの豊富な種類と見渡す限りの花畑。興奮状態で八合目の放牧地から九合目へと登りました。九合目から真っ直ぐ進むと20分ほどで山頂ですが、東側から山頂台地を回り込むようにして登る事に決めていました。なぜなら東側にはハクサンイチゲの大群落があるから。それを目当てに登ってくる登山者もこの時期は多いようです。泉水沼手前でお目当てのハクサンイチゲがちょうど見頃を迎えていました。出発からじっくりと5時間かけて、ようやく5年ぶりの262座目焼石岳へ無事に登頂。山頂でゆっくりとしたいところですが、お楽しみの時間はここまで。雲行きが怪しくなる前につぶ沼登山口へと駆け下りました。無事に下山してびっくり!1日の登山距離が22キロを超えていました。

五葉山

8月10日、「山の日」は五葉山へ。登山口から山頂までは標高差630メートル程、コースタイムは約3時間。登山道もしっかり整備されていて、とても登りやすいと聞きます。8時前に登山口の遥拝所で手を合わせて出発。五葉山は花の百名山でもありますが、この山を代表するシャクナゲとツツジはすでに今年は咲き終わっているため、夏はめぼしい花は無いようです。ちょうど中間点にもなる畳石でひと休み。三畳分はあろうかという砥石のような形をした大きな石が、ひときわ目を引きます。そこから八合目までは急な登り坂。汗をたくさん流しながら、九合目の石楠花荘前に湧き出る天然水を楽しみに登りました。火縄銃の火縄の材料となるヒノキアスナロが自生しているそうで、八合目付近にはまだわずかに残っていました。そして、五葉山の名の由来でもあるたくさんの五葉松に囲まれながら、楽しみにしていた九合目の水場に到着。山頂付近で水場があるのは、とても珍しく、夏場は特にありがたいです。水温はなんと8.5度!英気を養い、山頂へと向かいました。五葉山神社でまずは登頂のお礼を伝えて、山頂へと歩を進めました。そこは、気持ちのいい風が抜ける草原。流れる雲の間から差し込む光で、五葉山山頂の東西に延びる草原がさらに広がっています。出発から約2時間で263座目五葉山に登頂。山頂からは、北上山地最高峰の早池峰山が見えました。

池峰山

8月16日朝6時、早池峰山の登山口小田越へと11キロの車道を上ります。長い登り坂で、息を切らしながら2時間で小田越まで登りきりました。登山口を8時40分に出発。小田越で標高1250メートル、山頂までは約600メートル、すでに六合目まで来ているような感じです。一合目から早速森林限界となり、山は蛇紋岩むき出しに。長い登山口までの車道で頑張りすぎたのか、五合目でペースダウン、一休みしてエネルギー補給をしました。それからは快調に登り、一時間半ほどで山頂に到着。山頂で少しのんびりし、11時半に鶏頭山への縦走を開始。誰もいない早池峰山の広大な岩とハイマツ、高山植物が咲く主稜線に感動しました。中岳までの道のりは下り基調で全体的に歩きやすいです。その間にハヤチネウスユキソウも発見。中岳への登り返しが始まると足場はぬかるみと倒木、時々訪れる岩場の連続に。特に岩場は複雑で、集中力が求められます。中岳に到着する頃には雲がほとんど無くなり、強い日差しが容赦なく照りつけました。中岳から鶏頭山までの道のりはさらに険しくなり、暑さで体力が消耗する中での縦走は久しぶりに余裕の無い状況へと追い込んでいきます。難所の連続を無事に抜け、鶏頭山にたどり着いた時には疲れて座り込んでしまいました。最後にもう一踏ん張りと直ぐに立ち上がり、4時前に無事下山。下山したときには満身創痍。早池峰山の見た目以上、想像以上の険しさに、少し圧倒された登山となりました。

岩手山

8月20日。7時に登山口へ到着。登山者への「八合目の避難小屋まで薪歩荷協力」の看板が目に。少し悩みましたが、バックパックに入る6本だけ入れました。総重量は18キロ程。ただ登るだけではなく薪を運ぶ使命感が芽生え、テンションはいつもよりも高め。背負いはじめはそれほど重くは感じませんでしたが、一合目手前から七合目まで続く急登が始まると汗が噴き出し、ペースはがた落ち、一歩進む毎に「重い、暑い」と無意識に口からこぼれてしまいました。涼しさを求め、樹林帯の中を行く新道を登っていましたが、四合目で風を求めて見晴らしのよい旧道へと合流。四合目からは予想通り涼しい風と展望で体も心もリフレッシュ、七合目まで登りきりました。笑顔で八合目の避難小屋に到着し、薪を運び上げる任を無事に遂行。小屋の管理人さんからの感謝の言葉と、冷たいこんこんと湧き出る御成清水で十分ここまでの頑張りが報われました。その後は岩手山を楽しむことに。これまで登った焼石岳や栗駒山、早池峰山もしっかりと見え、さらに岩手山そのものを山頂まで見上げながら歩を進めることが出来ます。九合目からお鉢へ、ザレた登山道を登っていきます。前回は立ち寄らなかったお鉢の中にある岩手山神社奥宮へ真っ先に向かい、6年ぶりに登らせてもらったことの感謝を伝えました。その後、反時計回りに山頂へ。出発から3時間、265座目となる頂に到着しました。

姫神山

8月21日。朝日を浴びる岩手山を背に、15キロ先の城内口登山口を目指します。国道を渡ると姫神山への登りが開始。登山口まではまだ7キロもあります。美しい円錐形の姫神山は火山ではなく、隆起して出来た山が長い年月をかけて浸食されてできたそう。姫神山のようなきれいな山容は珍しいのかもしれません。9時にひっそりとした雰囲気の城内登山口に到着。案内板をみると、大昔から信仰されてきたことが分かる説明がありました。これから行く登山道には山頂まで水石、笠石など13の霊場があるようです。登山口を出発して間もなく、わき水が流れる清水神社に到着。暑さは少し和らぎましたが、昨日の疲れが色濃く残り、思うように足が前に出ません。コースタイム2時間の登り、岩手山よりは大分楽なはずですが…。結局山頂まで体力が回復することはなく、ゆっくりゆっくりとした足取りで出発から1時間10分で登頂となりました。山頂からは北上山地がよく見えましたが、昨日よりも雲は多く、朝見えていた岩手山は隠れてしまいました。山頂で1時間以上休憩をして体を休め、一本杉登山口へと下山。大昔の信仰の名残に触れながら、新たな姫神山を知る機会となりました。

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