田中陽希さん「日本3百名山ひと筆書き~Great Traverse~」(29)

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空き家生活スタート

新型コロナウイルス感染症により緊急事態宣言が全国へと拡大されたため、山形県内の宿泊施設は続々と臨時休業となりました。県外への移動も制限するようにとの呼びかけも出たことで、しばらくの間、今いる山形県で留まることにしました。路頭に迷いそうになったところ、役所の方からの申し出で、空き家をお借りすることに。
4月23日、空き家生活最初の朝。自炊生活中の外出はなるべく控える必要があり、人との接触もできないため、時間がありあまり生活が不規則に陥りやすいでしょう。できる限り規則正しい生活を心がけるようにしないと、あっという間に体に贅肉がついてしまいます。雪山登山が続いたことで停滞日数が増えて、体重が3キロほど増えてしまっていました。ベスト体重76キロまで絞ることをこの期間中の目標に。空き家は家財道具はほとんどそろっていて、徒歩圏内には食料品を買うことができる店もあり、さらに鳥海山からの恵みの湧水も近くにあります。裏手には河川敷があり、海までは片道10キロ、山手には自然公園、山間部へ続く道もたくさんあり、体力維持のためのトレーニングフィールドには事欠かなそうです。

佐渡横断以来の日本海

4月24日、天気が午後から回復したため、河川敷を海へと走りました。河川敷の道は1段高いため広い庄内平野がよく見え、さらに後方を見れば先日登り終えた鳥海山の裾野の大きさがよくわかります。暖かくなったことで鳥の数が増えて、いろんな種類の鳴き声が聞こえてきます。この恐ろしい状況になっているのは自然の力によるものですが、同時にその状況を忘れさせてくれるのも自然なのだと感じずにはいられませんでした。1時間ほどで、昨年11月に佐渡島横断した時以来の日本海へ。誰もいない海岸線、西日がまぶしく、まだ少し海風が冷たいです。再び来た道を引き返し、日が暮れる前に空き家へ帰宅。このコースは一時停滞期間中の自分の常設コースとなりそうです。

今日は山間部へ

4月25日、昨日は平たんな海までの河川敷コースだったので、今日は山間部へ行こうと考え、スマートフォンで地図を開きました。地図を見ると、再開後次に目指す真室川町方面に国道を上っていけば、左右には小高い山が続いているよう。どちらも山を越えるための道路はいくつもあり、選択肢は選びきれないほどです。午後3時から20キロほどになるルートを選び走り出しました。空き家生活が始まって4日目、これまでで一番暖かく穏やかな一日。標高300mほどの峠を越えると、その先の霞む空に鳥海山が見えました。その姿は出羽富士、庄内富士として愛されるように、富士山にとても似た美しい形。そして、道を挟む田んぼには早くも水張りが始まり、1週間もすれば庄内平野は大きな湖のように様変わりすることでしょう。

トレーニングフィールド

4月26日。先日、自然公園内を走っているときに通りがかった小さな神社には328段の石段の参道があります。勾配はかなり急で、登るほどに増していく感じ。入口からの標高差は50m。何往復もすれば登山に必要な筋力維持にはこれ以上ない場所だと感じました。空き家からも近く、人通りもないため、他の人を気にする必要はなさそう。今日は初めての石段トレーニング。滑りやすく急なため、転倒しないように1時間半ほどで無理せず上り下りを繰り返しました。結果は16往復、5248段、獲得標高800mでトレーニングを終了。久しぶりのため9往復目以降は歩いてしまいましたが、予想以上にハードなトレーニングとなり、これを定期的繰り返せばかなりいい状態で再開後のスタートを切れる予感がしました。1週間に2度、この一時停滞期間中の目標を100往復にします。
4月28日、神社参道の石段トレーニング2回目。今日の目標は7000段超え、獲得標高は1100m。少し肌寒いですが、汗を大量にかくため丁度良い気温。7000段を超えるためには、22往復する必要があります。前回よりも6往復多く、2時間はかかる予想でしたが1往復約4分ペースを15往復まで続けることができました。前回とほぼ同じ時間で20往復することに成功。さすがに残り5往復はバテてしまい、ほとんど歩いてしまいましたが、達成感、満足度は前回以上。次回は、10000段超えが目標です。

今日から5月

5月1日、今朝は大寝坊からスタート。空き家自炊生活も10日目を迎え、ここでの生活も大分板についてきました。朝はいまだに決まった時間に起きることができてはいませんが…。6時前に起床する日もあれば10時に起きる日もあり、6時から8時の間に起床の時は1日3食ですが、10時の時は1日2食になってしまいます。台所に立つ時間も増えて、調味料も一通りそろっています。大家さんや近所の方とも日ごとに顔を合わせて、あいさつをするように。午後、日課のランニングへとでかけ、5月1日なので15キロ走りました。帰宅すると、大家さんから赤飯をいただきました。聞くと、いつもならこの時期は祭りがあるとのこと。しかし今年は新型コロナウイルスの影響で中止に。各家庭で、祭りの時に作るという料理だけで、今年は終わりだそうです。その言葉に、早く収束の糸口が見えてほしいと切に思いました。

10日ぶりの石段トレーニング

5月8日、気付けば前回の石段トレーニングからすでに10日が経過。328段の石段がある六所神社へと向かいました。久しぶりのトレーニングに少し弱気になる自分を奮い立たせて今日の目標の10000段(30.5往復)を目指して淡々と登り始めました。まだ体が温まっていないのもありますが、今日はサクサクとは回数を重ねることができそうにないと、すぐ弱気に。10往復で45分。14往復で1時間。徐々にリズムと集中力が高まってきました。その後、20往復までは1時間30分とイイ感じで来ていましたが、徐々に足が上がらなくなり、疲労がたまってきました。止まらずに続けながら、今日は25往復でいいかな…2時間でやめようかな…と三度弱気に。22往復以降はがくんとペースが落ちて、10往復に1時間もかかってしまいましたが、何も考えず、足元の石段をただ数えながら登り続けました。約2時間30分、心境の変化は目まぐるしいものの、キッチリやりきり10000段を達成。足はもうフラフラですが、次は40往復、獲得標高2000m、その先は50往復だろうか。最初に考えていた100往復はちょっと…難しいかもしれない、と思っています。

日本の原風景

5月12日、今日で空き家生活3週間。夕方に、怠けて一日外に出なさそうな自分自身を奮い立たせて走り出しました。気持ちが乗っていない体は重いですが、1時間も走ると汗が大量に吹き出し、自然に体が軽くなります。隣町の小さな山に神社があることを知り、500段の石段を上っていくと、鳥海山大物忌神社 蕨岡口ノ宮がありました。思いがけない出会いに感謝し、参拝をして山を下ると、田園地帯に沈む夕日が美しく差し込みました。その光景に自然と足が止まり、今自分にできることは心身の健康に努めることだと感じました。

40キロ走

5月16日、普段は平均20キロのランニング距離ですが、今日は40キロを走ります。隣町の真室川町へ抜ける峠道を往復するルートです。往路は標高300mの峠のトンネルまで延々と上り、10キロ走ると最後の集落を通過。そこからは深い谷に沿って道が続きます。傾斜もきつくなり、筋力の使う走りとなりました。出発から1時間43分で峠のトンネルを抜けて、初めて真室川町へ。帰りは雨が降り出してしまい、ずぶ濡れに…。30キロまではしっかりイーブンペースで走れましたが、35キロを過ぎてから脚が終わってしまい、ヘロヘロに。それでも、久しぶりに40キロを真剣に走り切ることができたことに、また一つ、停滞中のトレーニングが身を結んでいることを感じました。

飽海三名瀑の十二滝

5月26日、家の周りには飽海三名瀑というのがあり、どれもトレーニングにはイイ感じの距離。家から一番遠い十二の滝へ走ることにしました。距離は往復40キロ。庄内地方も少し蒸し暑さを感じる日が増え、いつも以上に大量の汗をかきました。出発から2時間弱で目的地へ到着。誰もいない静かな谷合いに、新緑に包まれたきれいな川から流れを落ちる十二の滝がありました。初めて見る滝と新緑の美しさを写真に収め、休む間もなく帰路へ。32キロ過ぎからペースが落ち、少しの傾斜でも筋肉が悲鳴を上げています。約1時間、つらないように、傷めないようにと気を付けながら、じりじりと走り続け、今月2度目の40キロ走を終えました。空き家生活が始まる前は80キロを超えていた体重も、75キロまで絞ることに成功。

飽海三名瀑の一ノ滝

5月28日、一昨日の十二滝に続いてトレーニングで向かったのは鳥海山の裾野にある「一ノ滝」。距離は十二滝よりは短いですが、標高差はかなりあります。大きなアップダウンもありなかなかタフな道のりとなりそうです。3時前に出発、走り始めて1時間、滝までの長い上りへ。出発から1時間40分ほどで新緑のトンネルの先に、「一之瀧神社」と書かれた鳥居が見えました。鳥居をくぐり谷へと下りていくと、滝の轟音だけが聞こえます。下りきるとそこに2つのお社があり、双方に挨拶をしてから、一ノ滝の見える場所へとさらに階段を下りました。そこは滝を見下ろすような感じの場所で、滝つぼからの吹上が激しくあがっていました。滝の裏は空洞となっていて、二つの地層がくっきりと見え、このあたりの地形溶岩流によってできたことがよく分かります。ここまでの上りで思った以上に体力を消耗してしまったため、ジョギングペースでタラタラと家路につきました。

一カ月半ぶりに鳥海山中腹へ

5月31日、5月最終日も気持ちのいい青空に。小さなバックパックに着替えや飲み水などを詰めて、午前中から走り出しました。今日は、飽海三名瀑の最後の一つ、山形県内で一番の落差といわれる「玉簾の滝」に立ち寄り、一か月半ぶりに鳥海山の中腹にある鳥海山荘へと走ります。暑さのせいか、手前で追い抜かしていったロードレーサーが上りになりスピードダウン。ジリジリと追いつき、追い抜かしました。そのあと傾斜が緩くなったところで再び抜き返されました。予想以上の暑さで携帯していた水が底をつき、標高600メートルにある家族旅行村に着く時には足が止まってしまいました。地元の方がピクニックをしている奥に、久しぶりに間近に見る鳥海山がありました。空き家生活を始めてから1日がかりで外出したのは初めてのこと。5月はトレーニングと散歩で540キロ以上の距離となりました。来月は様々な意味で、どうなるでしょうか。

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