田中陽希さん「日本3百名山ひと筆書き~Great Traverse~」(26)

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荒海山

2月24日、夜明け前に起床、バタバタと荒海山登山への準備をして、6時すぎに麓の宿を出発。久しぶりのずっしり重いバックパック。昨日降雪があったものの、想定された積雪量ではないため一泊二日の計画を日帰りに変更しました。2日前下見した尾根の取り付き点からは全てがバリエーション登山となるため、積雪量、植生、細かな地形など不透明なことが多く、緊張と不安は拭えません。取り付き点から細く急な尾根を進み、40分ほどで半分まで登りましたが、そこからは雪に埋まりきらないシャクナゲが広がり、後半は倍の時間がかかってしまいました。主尾根から今度は主稜線へ。ここからが山頂までの最難所です。尾根を1560メートルのピークまで登る予定ですが、近づくとさらに険しい状況でかなり時間がかかりそう。他に抜け道はないかと山に目を向けると、ピークの東側のコルに続くルンゼが目に入り、かなり急ですが尾根を登るよりも早く確実だと判断しました。急斜面の直登に緊張感が高まり、気づくと膝が震えていました。スノーシューからアイゼンに装着し直し、ピッケルを手にして慎重にルンゼ下まで移動。集中して、素早く主稜線まで登りつめることができました。予定よりも1時間以上遅く、主稜線へと合流。主稜線上をあと600メートル歩けば山頂ですが、地形図よりも楽には進めなさそうです。さらに1時間ほどでようやく荒海山山頂に到着しました。登頂の瞬間は感動と達成感がこみ上げてきます。懐かしい山々が1ヶ月前よりも白くなり、歓迎してくれているように見えました。予定よりも登頂が1時間半ほど遅れ、さらに下山もリスクが高いため、30分ほどで下山を開始。登りに4時間かかったのに、下りはたったの1時間。7時間半ぶりに、砂防ダムへと帰ってきてようやくホッと肩の荷がおりました。

男鹿岳

2月28日、今日から男鹿岳へ。林道が長いため、行程は一泊二日です。二日分の食料を背負い、林道の入り口となる横川の集落を通過。背負う装備は重いですが、旅では最初で最後の厳冬期となるため、初の体験にワクワクしています。林道を黙々と歩き、標高が1,000メートルを超えた辺りからスノーシューを装着。林道は所々崩落もありましたが、荒海山よりも少し積雪が多いため難なくきり抜けることができました。林道は標高1350メートル手前で終点。当初は林道の終点から尾根を登っていく予定でしたが、荒海山の経験から谷を直登していくルートに変更しました。しかし、この判断がミスとなります。積雪量が少ないため、水が流れて沢の底が雪で埋まらず谷底を歩くことが出来ません。沢の急斜面をトラバースするように登ることとなり、なかなか前へ進むことができませんでした。結局、途中から尾根へと急斜面を無理やり登ることに。早い判断と行動によりあっという間に主稜線へと合流することができました。あのまま頑固に沢を登り続けていたら、まだ登り切れていないでしょう。天気は依然として変わらず、最初のピーク「女鹿岳」へと登りました。結局最後まで雲は晴れず、女鹿岳からはあっという間に男鹿岳へ到着。山頂標識を三つも見つけて、ここが間違いなく男鹿岳山頂だと確認しました。暗くなる前にテントを張る場所を確保するべく、スコップで快適なスペース作りを開始。東側を入り口にするように掘り進め、ある程度掘ったあとはスコップでブロック状に雪を切り出します。そのブロックを東面以外の三辺に積み上げて、「コ」字型に。テントと同じ高さ位まで積んで、テントを張るスペースもきれいにならして完成です。

2月29日、真夜中に目が覚めてしまいました。テントから外を覗くと満天の星空。朝が待ち遠しいです。日の出の時間が近づいてきましたが、テントの外は少し薄暗いです。まさか…と思い入り口を開けると、空を雲が覆っていました。太陽は分厚い雲に遮られて、どうやら朝は顔を出しそうにありません。しかし、昨日にくらべたら展望はあります。初めてみる男鹿岳山頂からの景色には、正面に那須連山がくっきりと見えていました。男鹿岳は帝釈山脈の一部であり、そのまま東へ縦走すると三本槍岳辺りで那須連山と合流します。もう少し雪が多ければ、那須連山まで縦走しても楽しめそうに見えました。温かいモーニングコーヒーを飲みながら朝食の準備。曇天でも穏やかな朝と景色により贅沢な時間です。テント中でゴソゴソと出発の準備をしながら、天候回復を待ちました。しかし、山は予報通りとはいきません。下山の時間が来たため、力作のテントスペースのブロックを全て崩して山頂を出発。下山したとたんに山が晴れてくるのはお決まりのこと。この旅最後となるであろう厳冬期は、一泊二日テント泊の男鹿岳で無事に終わりました。

 

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