田中陽希さん「日本3百名山ひと筆書き~Great Traverse~」⑬

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初登り

1月5日、今年の初登りは千葉県を代表する鋸山。三百名山のない都道府県は5県(沖縄県、山口県、香川県、愛知県、千葉県)、沖縄県を除いた4県も三百名山ではなくとも、一座は登ろうと決め、旅を続けています。鋸山は人生では2度目の登山、良質な岩のため、石切場として長い間たくさん石が切り出されてきました。江戸城の石垣もここから切り出されたと聞きます。今もその名残はあり、独特な雰囲気に圧倒されます。標高は328メートルと低いですが、急登が続くため登りごたえがあります。今年最初の週末と重なったため、たくさんの登山者が鋸山に溢れていました。他の登山者から、「何で千葉県にいるんですか?」「鋸山も三百名山なんですか?」と話かけられることもありました。

筑波山

1月14日、登山口となる筑波山神社で、初めて購入したガマ油を売るガマの口上を見学しました。いつも登るたびに気になっていたガマ油の歴史を知り、ガマ油がなんなのか初めて知ることができました。今回で4回目となる筑波山の登山ルートは、初めて筑波山を登った時と同じケーブルカー沿いの御幸ヶ原コースを登りました。老若男女たくさんの人が登山道を行き交いました。登りきると御幸ヶ原はさらにたくさんの人たちでにぎわっています。朝よりは霞が濃くなっていましたが、山頂からはかろうじてスカイツリーや富士山も見ることができました。御幸ヶ原の売店で、名物のつくばうどんをいただき、お腹と心を満たしました。そして、最高峰の女体山へと向かいます。足がすくむような切り立った岩峰に立ち、1ヶ月半ぶりに待ちに待った3百名山のカウントアップが始まりました。

八溝山

1月19日、123座目は八溝山。茨城県、栃木県、福島県の県境に位置します。山頂には立派な展望台があり、眺めもいいそう。例年ならば積雪があるそうですが、今年は全くないようです。八溝山は茨城県最高峰の山でもあり、大昔には金山として栄え、遣唐使の資金源になったそうです。徳川家光も賞賛したという湧水群もあります。役行者が全国を行脚しているときに開き、その後、弘法大師が再興したという日輪寺から登山を開始。全部で5ヶ所ある湧水群を回りましたが、全て凍りついていました。運よくつららができていて、後程山頂でコーヒーを飲むことができました。山頂には八溝嶺神社があり、神社の裏手が山頂になっていました。展望台からは真っ白な奥日光や那須の山々が見えました。今いる八溝山よりも、1000メートルも標高が高い山ばかりなのだから、真っ白で当たり前です。むしろ八溝山に雪が全くない方が今年の冬の暖かさを物語っています。展望台からもう一つ山が見え、それは次登る大滝根山でした。山頂で「1、2、3、だぁー」とポーズを決めて、福島県側へと下山しました。

大滝根山

1月22日、夜明けに外を見ると一面の銀世界になっていました。雪国育ちにとっては、冬は雪がなくては始まらない!山麓から雪の積もった車道を歩き、一段高い仙台平へと登りました。仙台平には鬼穴という場所があり、あぶくま洞につながっているそうです。そこに立ち寄ると鍾乳洞からの温かな風が流れてきました。登山道に戻り大滝根山へと登り始めると、風で木々が揺れてまとっていた雪が雪煙となり、差し込んだ太陽の光にキラキラと反射して幻想的な姿を見せてくれました。冬ならではの美しさです。山頂までは1時間ほどで到着。大滝根山の山頂には航空自衛隊のレーダー基地があり、事前に申請をすれば入門許可をいただくことができて、自衛隊員の立ち会いのもと立つことができます。山頂に電波塔やレーダー基地がある山はいくつもありますが、3百名山の中では初めての経験です。さすがに山頂は風が強く、深い吹きだまりもできていました。フェンスをぐるりと回り入り口に着くと、自衛隊の方々がすでに到着していました。自衛隊の基地の中に入るのも、基地内の山頂に立つのも初めての経験で、緊張と嬉しさが入り交じっていました。そして山頂となる三角点に立ちました。あまりの風の強さに、記念写真だけ撮り基地を後にしました。

高原山

1月28日。125座目「高原山」は初めて登る山。初めてが厳冬期となると、登る側の心境は慎重さが増します。夏山と違い、様々な情報があっても、状況の予測やイメージしにくいのが冬山。そのため、今の高原山の状況を自分の目で見て、体感する必要がありました。天気予報を細かくチェックして、高原山を登るための偵察登山をすることにしました。八方ヶ原まで車道を歩き、そこからは実際の状況を知るための偵察登山となりました。積雪量は想像よりは少なく、八方ヶ原から、大間々台までは登山道に他の登山者の踏み跡もあり、比較的歩きやすいです。風もなく、森に差し込む日差しが暖かいです。まさに最高の登山日和。八海山神社の小さな社がある最初のピークまではコースタイム1時間、踏み跡がない林間コースをあえて選びました。ラッセルになった場合、どれぐらいのペースになるか知るためです。この日の目的地は剣ヶ峰でしたが、八海山神社のピークへの到着が予定よりも遅れたので、剣ヶ峰から高原山へ続く稜線が見えるところまでで引き返しました。

1月30日、まずは、八方ヶ原まで舗装道路で標高を上げます。少しずつ明るくなり、天気予報通りの無風快晴です。偵察登山をしたとき以上のコンディションになる予感がしました。5月にはキレイなツツジが咲き乱れる大間々台に着くと、展望台からは那須岳方面の山々がきれいに見えました。八海山神社へと登っていくと、ようやく高原山最高峰の釈迦ヶ岳が見えてきました。剣ヶ峰からは偵察登山でも足を踏み入れなかったエリアとなります。釈迦ヶ岳へと続く稜線は所々狭くなり、大きな雪庇ができていました。偵察登山をしたからこそ、冬ならではの景色に目を向けたり感じたりできるゆとりが持てていることを実感していました。標高と傾斜が増すにつれて、なかなか思うようには進めず体力戦となりました。灌木帯を抜けると、日光や尾瀬、会津の山々が目に飛び込んできました。山頂はまさに春の陽気。釈迦ヶ岳の名前の通り、山頂には御釈迦様が南を眺めながら、鎮座されていました。一礼合掌し、登らせていただいたことのお礼を伝えました。

 

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