雲から山の天気を学ぼう(第6回)

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今回は、低気圧や前線が近づいてくるとき、つまり天気が崩れていくときに、最初に現れる雲について説明します。最初に現れることが多いのは、雲の中でもっとも高い所に浮かぶ巻雲(けんうん・第2回参照)です。巻雲には天気が崩れていくときに良く現れる「雨巻雲」と、天気の崩れに関係のない「晴れ巻雲」があります。それぞれの特徴について見ていきましょう。

雨巻雲と晴れ巻雲

雨巻雲(写真の赤色で囲んである雲)と晴れ巻雲(緑色で囲んである雲)

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上の写真で赤色で囲んでいる部分に昇り竜のような雲が見られます。これは、上空の空気が乱れているときに現れる雲で、このような雲が見られるときは、天気が崩れていく前兆になることが多くなります。一方で、緑色の囲みの中にある雲は直線状で、乾いた感じの雲です。このような巻雲は天気に無関係のことが多いです。

<雨巻雲>  それでは、他の雨巻雲も見ていきましょう。

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上の写真も雨巻雲です。全体に湿った感じがする雲ですね。上空に湿った空気が入っている証拠で、天気が崩れることが多くなります。

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こちらは鉤状の巻雲です。巻雲が現れている場所は、高気圧の圏内で下降気流となっています。巻雲は下降しながら消えていきますが、そのときに風の強さや向きが違うと、鉤状に雲が曲がります。春や秋には鉤状の雲が良く見られますが、ひとつひとつの雲が小さくて、塊状に近い形のときは、雨巻雲となることが多いようです。

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こちらは、典型的な昇り竜の雨巻雲ですね。この日の午後、にわか雨が降りました。

<晴れ巻雲>

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こちらは、晴れ巻雲です。乾いた感じの直線状の雲ですね。

<雲の向きによる見分け方>

ここまでは雲の形状によって、雨巻雲か晴れ巻雲かを見分けましたが、それだけでは分からないことも多いので、雲の向きも判断材料に加えましょう。通常、日本の上空は真夏を除いて西風が吹いていることが多いのですが、これが南寄りに変わってくると、天気が崩れていくことが多くなります。つまり、西風が南西風に変わってくると天気が悪化するのです。上空の風の流れは、雲の進む方向で分かります。雲が西から東へ動いていれば、上空は西風、南西から北東に動いていれば南西風です。逆に、西風が北西風に変わってくると、天気は回復に向かうことが多くなります。  上空の風の方向を調べるには、コンパスで雲の動きを確認しましょう。コンパスが面倒だという方は、方位計付きの時計でも構いません。私はカシオ計算機のプロトレックを愛用していますが、これですと、ボタン一つで方角が分かるのでとても便利です。  ただ、コンパスや時計で調べても見分けることが難しい場合は、目印を決めておくといいでしょう。ご自宅の場所から見て真西や真東にある目立つ建物や山を決めて、それを結ぶ線よりもどちら側にずれているかによって、西風より南寄りなのか、北寄りなのかを判別していきましょう。  ここまで雨巻雲、晴れ巻雲を説明してきましたが、一言で雨巻雲、晴れ巻雲と言っても千差万別ですし、判別が難しい雲も沢山あります。また、そのときの気圧配置によっても晴れ巻雲、雨巻雲は異なってきます。したがって、天気図や衛星画像と併せてご利用いただくことをおすすめします。

 

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)

※図、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

 

猪熊隆之(いのくまたかゆき)

全国18山域、59山の天気予報、大荒れ情報、専門天気図、雨雲レーダーなどが見られる「山の天気予報」(https://i.yamatenki.co.jp/)サイトを管理している株式会社ヤマテン(http://yamatenki.co.jp/)の代表

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