道に迷ってしまったら

  1. ホーム
  2. > 自救力アップ講座
  3. > 山の安全講座:救助要請
  4. > 道に迷ってしまったら

ilust_011

正しいルートに戻るのが優先

登山者ならば、山で道に迷ってヒヤッとした経験は誰にでもあると思う。それが大事にいたらずにすんでいるのは、深みにはまり込む前に正しいルートに戻れたからだ。

 

もし山で道に迷ってしまったときには、とにかく正しいルートに戻ることを優先させること。焦ってむやみにあたりを歩きまわったりせずに、その場で休 憩をとり、行動食を食べたり水分を補給したりしてまずは気持ちを落ち着かせよう。冷静さをとり戻したら、周囲の地形をよく観察してみる。そばに登山道らし きものがないか、少し離れた木の枝や沢の対岸に赤いテープやペンキのマーキングがつけられていないかなど、注意深く観察すれば呆気なく正しいルートが見つ かったりするものである。

 

見つからない場合は地図とコンパスを取り出し、最後に現在地を確認した地点と、歩いてきた方向・時間を考慮して、おおよその現在地のアタリをつけて みよう。それによって、「もしかしたらここで間違えたのかもしれない」と思い当たることが出てくるかもしれない。たとえば、正しいコースは山腹を巻いて続 いているのに、知らず知らずのうちに尾根上に上がっていたなんていうのはよくある話だ。

 

それでも現在地あるいは正しいルートがわからないのなら、最後に現在地を確認した地点まで引き返す。「もうちょっと先まで行ってみよう」「迷ったと いうのは自分の思い過ごしかもしれない」などと都合よく考えて先に進んでいってしまうのは、道迷いの深みに陥る典型的なパターンである。少しでも「あれ、 おかしいな」と感じたら、なにはともあれその場から引き返すことだ。

 

引き返していくときには、周囲の風景によく注意しながら慎重に行動しよう。とくに尾根や沢の分岐、雪渓上、落ち葉が積もって踏み跡がはっきりしない 箇所、岩がゴロゴロしているガレ場などでは、来た道がわからなくなって違うほうへ行ってしまうこともあるので、充分に注意したい。たどってきた道を忠実に 引き返していけば、必ず間違えた地点が見つかるはずなので、そこから正しいルートに戻ればいい。

 

なお、道迷いから脱出するときには、地図、コンパス、高度計、GPSといったナビゲーションツールを最大限に活用しよう。これらのツールは、ただ持っているだけでは意味がないので、確実に使いこなせるようにしておくこと。

自力下山か救助要請か

さて、山で道に迷ったときの最悪な行動パターンといったら、沢を下っていってしまうことである。樹林帯に比べ、ヤブなどがない沢は歩きやすく、しか も下へ向かっているため、「このまま山麓まで下っていけるのではないか」と錯覚して、ついふらふらと入り込んでしまいたくなる。しかし、下っていくうち に、やがて崖や滝や堰堤に突き当たって進退窮まるのが沢というもの。それを無理やり下ろうとして転落しまう事故が後を絶たない。どんなに歩きやすそうに見 えても、絶対に沢は下っていかないことだ。

 

逆に奨励したいのが、ピークや尾根に上がること。道に迷って精神的にも体力的にも余裕がない状態では、上へ向かって登り返していくのは大変おっくう に感じられるはずだが、それでも登っていくべきである。ピークや尾根に上がれば視界が開け、地図とコンパスでの現在地の確認が容易になるうえ、登山道は ピークや尾根を通っていることが多いからだ。

 

ただし、ガスや悪天候などで視界が悪いときは、目印になるものが見つけられないので現在地を確認するのがなかなか難しい。そんななかを躍起になって 動きまわっても、ただ体力を消耗するだけだ。地図とコンパスを使っての現在地の確認は、周囲の見通しが利いてこそ可能になるもの。視界が悪いときには無理 して行動せず、風雨を避けられる場所で体力を温存しながらじっと待機するのが得策だ。

 

それでも状況がよくならないとき、あるいはどうしても正しいルートに出られないときは、日が暮れる前に安全な場所を探してビバークの準備にとりかか ろう。ビバークの態勢に入ったら、翌日に備えてなるべく体力を消耗しないように努めるとともに、現状をどう解決したらいいかパーティのメンバーとよく相談 しておくこと。

 

こうなった時点での選択肢はふたつ。あくまで自力で下山するか、救助を待つことにするか。山登りは〝自力下山〟が大原則であるが、無理やり下山を強 行しようとして命を落としてしまったのでは元も子もない。天候や周囲の地形、道迷いから脱出できる見込み、メンバーの体力などをよく考えたうえで判断を下 そう。

 

もし救助を待つのであれば、捜索のヘリコプターに発見されやすいようにできるだけ開けた場所を探しだし、その周辺で待機すること。場合によっては発 見されるまで数日を要するかもしれないが、ひたすら耐えるしかない。携帯電話や無線での救助要請は当然試みるべきであり、運よくレスキュー関係者に連絡が とれたら、自分たちの状況を説明したうえで関係者の指示に従おう。

  • 入会お申込み
  • ヤマモリについて
  • 講演会のお知らせ
  • ネットショップ エマグストレージ
  • メールマガジン受付
  • jRO事務センター便り
  • JROチャンネル
  • JRO×ココヘリ
  • 山と自然のネットワークコンパス Compass

田中陽希と学ぶ jROの山岳遭難対策制度