【リポート】Japan innovation Challenge 2017 報告書

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2017113

jRO特派員 松本光顕

2017年10月16日から20日までの5日間で行われた、Japan Innovation Challenge 2017に参加した。この大会はロボット(ドローン等)による山での遭難救助を目的とし、山で遭難した人を発見し救助を競う大会である。山岳救助のコンテストを実施することで、日本国内におけるロボット関連技術の発展や製品化の加速、対外競争力の強化を目的としている。

会場は北海道上士幌町のナイタイ高原牧場横の高原で行われ、捜索範囲は3km2と広い。また山の斜面には15m~30mの木々が立ち並び、上空からは地上が見にくいが紅葉が始まっており、若干葉っぱが落ちて見やすくなっていた。また大会中は寒く、雨が降った日もあり天候の条件は厳しいものがあった。

 

競技種目は「発見」「駆付」「救助」の3種目がある。
1.「発見」指定エリアにランダムで置かれた、遭難者マネキンの所在地を特定する
2.「駆付」遭難者マネキンへ3kgの救援物資を配送できるかを競う
3.「救助」遭難者マネキンを救助し、指定場所へ搬送できるかを競う
上記はすべて無人機(ロボット or 遠隔操作)で行う。種目毎に賞金があり「発見」は第一発見者に50万円、「駆付」は達成したチームで500万円を分配、「救助」は達成すると2,000万円と高額に設定されている。

参加したチームは去年優勝したアイ・ロボテックスをはじめ13組で以下の通り(順不同)。
損保ジャパン日本興亜、慶應義塾大学武田研究室、株式会社スカイウィングス、Team ArduPliot Japan、株式会社WorldLink&Company、ナカモトYDN、神楽納期JAPAN/MMC、チーム東北JV、株式会社Y.D.S.Pro Shop/DJI認定新宿ストア、NPO法人ドローンサポート東北、一般社団法人関西ドローン安全協議会、SkyRanger Project Team NEX

 

大会にはシナリオがあり、以下の条件の下に行われた。
『帯広氏はある晩秋の日に単独で登山を行った。頂上に着きすぐに下山を始めたが、午後4時頃急に雪が降り始め吹雪になり道に迷ってしまった。午後5時に携帯電話にて救援を頼んだが現在地が不明であったため、場所は伝えられなかった。食料や水、レインコートなども持参していたが、雪を想定していなかったためこのままでは凍えてしまう。ヘリコプターは悪天候のため捜索に向かえない。救助隊は日没となるため入山できず、翌朝に備えている。その後携帯電話が繋がらなくなったため、救助隊はロボットを利用した救助を試みることにした。翌朝の救助のこともあるため、まず帯広氏の位置を把握する事を試みる。位置を把握できた場合は、救助ロボットを送り込み救出を試みるが、救出できない場合は無線機、簡易テントや毛布等の物資を置いてくる。』
遭難者用のダミー人形には体温が設定され、赤外線カメラで検知できるようになっている。衝撃検知センサーも搭載され、救助の際に衝撃があった場合は失格となる。

大会はまず「発見」から行われ1時間の制限時間内に遭難者の場所の特定を行う。発見した場合は写真と座標を大会本部に通知する。もし1時間以内にどのチームも見つけられなかった場合はダミー人形の座標が各チームに伝えられ、次の科目の「駆付」が行われる。「駆付」はチーム毎に行い、1チーム20分間の制限時間内に3kgの物資をダミー人形の周囲3mから9m以内に置いてくる。去年の大会では物資を投下したが、ダミー人形に当てて失格となったチームもあった。最後の科目の「救助」は去年も今年も参加は1チームのみとなった。この科目は難易度が高い。
遭難者の元に人を運べる車両で向い、遭難者を乗せて戻って来なければならない。一連の作業を自動操縦か遠隔操作で行う必要があるためだ。

 

各チームが第一科目の「捜索」に利用した機体は、DJI 製品のPhantomシリーズが多く見られた。捜索範囲の映像はドローンを飛ばし、リアルタイムで送られてくる、映像を見ながら探すチームや、オートパイロットで動画をとり、帰還後に録画した映像をモニターで見ながら捜索するチームなど様々な手法がとられていた。中には30倍ズームのカメラを搭載し、高所から地上をズームしての確認や、赤外線カメラを搭載し色で判別するチームもあった。
「駆付」はMatrice600などの大型機が多く、物資を投下するチームとウインチを使い降ろすチームが半々であった。
「駆付」では初日と2日目にアイ・ロボテックス、WorldLink&Company、Y.D.S.Pro Shopが課題を達成した。

 

ドローンを操縦するうえで重要なポイントとして操作技術も必要だが、機体に影響する制限や法律などがある。
その1つは複数台を同時に飛ばすと通信が干渉し不安定になることが挙げられ、その上限は3台から多くても5台と言われている。通信が不安定になるとドローンの操作が不可能になり、コントロール不能の状態になるか、コントロールできてもドローンから送られてくる映像や機体の情報が受信できなくなる事がある。本大会でも映像が送られてこない現象が発生した。
2つ目は今回の捜索範囲が3km2と広く、操作地点から直線距離でも1km以上離れた場所に飛行する必要がある。ドローンの性能は電波を遮る障害物が無ければ、数キロ先まで飛ばすことが可能だが、ドローン本体の重さが200g以上の場合は法律の制限がある。制限の内容では、東京都内や主要都市など人家の密集地域では飛行できない。空港周辺や重要施設周辺も同様である。飛行は目視の範囲内で日中に限られ、高さ150m以下とする。人や建物から30m以上離す。催し場所での飛行や危険物の輸送、物体の投下も禁止している。
ただし絶対不可能ではなく、パスポート制を採用している為、国土交通省に申請を行い許可が下りれば飛行可能となる。申請に必要なものは飛行目的、日時、場所、ドローン本体と操縦者の情報、そして安全確保体制などが必要となる。筆者も大会に参加するため、目視外飛行と開催場所での飛行の申請を行った。本来であれば高さの申請もしたかったが、許可の難易度が高く諦めざるを得なかった。ただ山岳捜索はこの高さが問題で、平坦な場所での操作なら150m以下に抑えることは比較的簡単だが、山岳の場合は斜面に沿って高低差がある。そのため尾根から水平に谷側に移動した場合でも、地上差がすぐに150mを超えてしまう場合がある。
最後は自然環境で、特に雨、風、寒さが機体に影響する。雨の防水対応をしていない機体は飛ばすことが不可能である。風が強いと墜落の危険がある。寒さもバッテリーに影響し、墜落の危険がある。しかしながら年々機体の性能は進化しており、バッテリーを機体が自動で温める機能や、AIが搭載され衝突防止の機能が付いているなど驚異的な進化を遂げている。
毎年新商品が出るたびに、待てばよかったと悩む筆者だが、それはさておき、改めて大会を通じドローン=危険なものではなく、災害対策、救助活動に利用されれば、有意義なものになると実感できた。来年もより最新の技術を身に付け参加したいと思っている。

本大会を開催した大会実行委員会の皆さま、協賛企業、団体、自治体の皆さまにお礼申し上げます。
http://www.innovation-challenge.jp/

 

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